ヒアリハットとは

ヒアリハットとは

 

ヒヤリハットとは、事故に至る可能性のあった出来事の「発見」です。つまり事故に至る可能性があったものの、事故に至る前に発見されて防ぐ事ができた場合の事です。

ヒヤリハットの語源は文字通り「ヒヤリとした」「ハッとした」という所からきています。

ヒヤリハットに関する法則としては有名な「ハインリッヒの法則」があります。

ハインリッヒの法則とは、1つの重大事故の背景には、およそ29の軽微な事故があり、さらにその背景には300のヒヤリハットが存在することを法則化したものです。

 

 介護現場における事故事例をよく見ると、過去に何らかの形で「事故報告が上がっていた」「(事故には至らなかったが)ヒヤリハットの報告がなされていた」というパターンが目立ちます。つまり、事故防止とは、言ってみれば「再発防止」「ヒヤリハットから事故への発展防止」という考え方が重要になるわけです。初めて遭遇するという事故ケースであっても、よく分析すると、過去に「ヒヤリハット」等で課題として挙がったリスクが影響している場合がほとんどといえます。

となれば、まずは「すでに発生している事故」や「ヒヤリハット事例」についてしっかり対処し、検証していく仕組みを作ることが第一歩となります。仮に現場で何らかの事故が発生した場合最優先されるのは利用者の人の人命です。この点についてはマニュアル等が整っている現場も多いでしょう。問題は「再発をさせない」という目的での対処が後回しになってしまっている点です。よく「同じ事故が続く」という例を耳にしますが、これは事故やヒヤリハットの背景にあるリスクを放置しているパターンがほとんどです。

 

 介護事故がなぜ起こるかといえば、そこには「人は自分の意思をもって活動する存在である」という大前提があります。そのことをよくしめしているのが、データ面で全体の8割を占める「転倒・転落」事故です。例えば、椅子からの転落という事故があります。すわっている間、その人の活動は「静止」しているのだから事故は起こりようがないなどと考えがちですが、それでも転落するという事故は多々発生しています。椅子に座っている状態であっても、人は完全に静止しているわけではありません。自分自身の活動を振り返ってみればわかりますが、一定時間椅子にすわっていれば、背筋・腹筋に疲労感が生じたりお尻や足に負担を感じてくるものです。すると、その不快感や疲労感から逃れるために、無意識に身体をずらすなどの行動が生じるはずです。つまりここでは「身体的な苦痛を緩和しよう」という意思が働いて、わずかながらも「活動性」が生じて生じているわけです。転落事故でよくあるのは、座った状態のまま、少しずつお尻をずらしたりしながら、やがて身体のバランスを崩して転落して転落してしまうというケースです。この点を考えれば、歩いたり、立ち座りをしたりというはっきり確認できる活動以外でも、事故は生じるわけです。

身体拘束などがかえってリスクを高めることがありますが、その背景には「そのひとの気持ち」に思いが至らないことによる落とし穴が存在しているといえます。

となれば、その人の今の心理状況をしっかり思いやることが、あらゆる事故防止の基本となります。介護現場などでよく言われる「心のケア」をマスターすることも、そのまま事故防止につながる大切なスキルになるわけです。また、その人の生活感・価値観がその時々の心理状況を大きく左右することを考えれば、その人の「生活」に目を向けることも事故防止の基本として欠かせません。

 

いずれにしてもヒヤリハットは、事故にいたらなかった出来事の発見をとおして、そこから何を学び対策していくかという貴重な機会であるとも言えます。

 

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