医療的ケアとは…

医療的ケアとは…

「医療的ケア」についてご案内する前に、まずは普通の「医療行為」との違いについて触れたいと思います。

 

医療行為

「医療行為」についての明確な定義はありませんが、一般的には「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為」とされています。そして、その医療行為には、「医師自らが行わなければならない行為(絶対的医行為)」である診断、薬の処方、手術などと、「医師の指示に従って医師以外の医療従事者が行う行為(相対的医行為)」である看護師による注射や点滴、レントゲン技師によるレントゲン撮影などの両方があります。いずれにしても、資格をもった医師や医療者にしか許されない行為になります。

医療行為に対して医療的ケアとは
これに対して、「医療的ケア」とは、「日常生活に必要とされる医療的な生活援助行為」とされています。代表的なのは、痰の吸引や経管栄養の注入です。狭い気道に唾液や痰が詰まれば、呼吸困難となって死んでしまいますし、栄養摂取は日々欠かせないものです。これらも医学的判断は必要ですが、医師や看護師にしか許されないとなると、子どもが在宅で暮らすのは不可能となります。そこで、医師の指導のもと家族が行うことが在宅医療の前提となっています。

 

 

呼吸管理に関する医療的ケア

■人工呼吸器
神経や筋肉の問題など、さまざまな理由で、自発呼吸が困難になった場合に人工的に肺に空気を送り込むのが人工呼吸器です。顔につけるのは、鼻マスク、口鼻マスク、顔マスク、マウスピースとさまざまな種類があります。のどに穴を開ける気管切開などに比べて、家族はケアがしやすいと言われています。

 

■気管切開
呼吸困難を救う目的で、のどの気管に穴をあけて、カニューレというやわらかな中空の管を差し込み、新たな気道を作成し、呼吸が楽にできるようにするものです。気管切開をした上で、人工呼吸器を使う場合もあります。

気管切開をする理由は主に3つあります。

1.鼻や口からのどまでが、何らかの理由でふさがれたり、狭くなってしまったりしている。
2
.唾液や痰や食物などの気管にたまった残留物を楽に除去する。
3
.呼吸不全に対して、酸素投与や人工呼吸を有効に行うために、上気道を避けて、直接気管から換気し、呼吸の負担を軽くする。

本人は呼吸がしやすくなり、痰に苦しむことも少なくなり、家族は痰の吸引に要する時間と労力を少なくすることができるなど、生活の質を高めるメリットは大きいのですが、手術自体にリスクがあり、発声が不可能になったり、嚥下障害が悪化したり、食べ物の味がわからなくなるなどのケースもあり、デメリットも考える必要があります。

■経鼻エアウェイ
鼻からのどまでやわらかいチューブを挿入して空気の通り道を作ります。主に睡眠時に使用することが多く、呼吸障害の改善や睡眠の安定化がはかれます。これによって、気管切開をしなくてすむケースもあります。

■痰の吸引
飲み込む力が弱い障害児は、のどに唾液や痰がたまっても飲み込むことができずに詰まらせてしまうことがあります。そうすると呼吸困難になる恐れがあるので、電動吸引機で頻繁に取り出す必要があります。吸引するためのチューブは、鼻や口から注入します。気管切開している場合は、のどの気管カニューレに注入します。

 

命にかかわることなので、24時間休むことはできません。深夜も含めて、多い時には一日100回にも及んだり、子どもの体調が悪いと5分おきに吸引が必要になったりすることもあり、家族の慢性的な睡眠不足の原因のひとつとなっています。

 

 

栄養管理に関する医療的ケア

嚥下機能の弱くなっている子どもは、食べ物を飲み込むことができないので、食事を口から取ることができません。そこで、チューブを使って、栄養を直接胃に注ぎ込む経管栄養という方法を取ります。口から取る食事に比べて、準備に手間がかかり、器具の洗浄や消毒も必要で、呼吸管理同様に保護者には大きな負担がかかります。

 

■経鼻栄養
鼻からチューブを入れて、胃まで届くようにします。いったん挿入したチューブは位置がずれないように顔にテープで貼り付けます。

■胃ろう
手術によってお腹と胃に穴を開け、胃ろうカテーテルを付けて、食事の際にそこから栄養を注入します。

■口腔ネラトン法
食事のときだけに口からチューブを入れるやり方です。つねに顔にチューブを張り付けておく必要がないので、見た目の違和感は軽減されます。

■中心静脈栄養法
中心静脈という心臓近くの太い血管の中に設置したカテーテルから、輸液を点滴し、生命維持や成長に必要なエネルギー、各種栄養素を補給します。

 

 

排泄に関する医療的ケア

■導尿補助
膀胱に指令を出す脊髄などの神経系に障害があり、尿の排出がうまくできない子どものために、尿道からカテーテルを入れ、尿の排出を補助します。

この他にも服薬のケアやインスリン注射、人工透析、排便管理など、さまざまな医療的ケアがあります。素人でも簡単にできるものから、技術を要するものまでありますし、随時行うものや一定時間ごとに行うものもあります。

一覧ページに戻る

埼玉介護求人NAVIでは、さいたま市、熊谷市を中心とする埼玉県に特化した求人情報を検索することができます。

PAGE TOP